松阪市行政とのやりとり

関口 信人

利用者の支援をするにあたり、利用者の利益を考えることが前提となります。利用者の利益とは個々によって異なります。例えば社会で集団活動ができるようになること、絵カードを使い自分の意思を伝える事ができるようになること、作業ができるように支援をすることなど個々のニーズに応じて様々な支援に取り組んでいます。その際、重要な支援の変更などは行政も含めた話し合い(サービス担当者会議等)も必要となります。

支援をするときの条件や基準となるのが法律です。利用者支援にかかわる重要な法律として2種類をあげます。

1つ目は「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」、2つ目は「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」です。法律の中には事業所、行政が取り組むべき内容が明確に記載されています。

「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」第二条の2においては、「障害者の福祉に関し、必要な情報提供を行い、並びに相談に応じ、必要な調査及び指導を行い、並びにこれらに付随する業務を行うこと」とされており、これは「市町の責務」として記載されています。「責務」とは義務、あるいは果たさなければならない務めを意味しています。法律上「市町の責務」と記載されていることから、本来ならば松阪市の障がい福祉課はこの義務を果たす責任があります。したがって行政(松阪市障がい福祉課)は利用者の情報を把握し、相談があれば必要な調査をする義務があります。


また「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」第八条の2においては、「障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない」と記載されています。特にこの法律は行政に対して強い拘束力を有しています。

それにもかかわらず松阪市障がい福祉課は、事業所から「利用者の利益となる内容の相談をしても受け付けてくれない」、「社会障壁の除去に努めてくれない」のです。実態が判明した事例をあげて説明させて頂きます。

① 松阪市障がい福祉課は利用者へ利益ある情報を提供してくれない

2018年8月より、「ぱんカンぱん」の事業が始まりました。ここでは、月工賃が3~7万円を支給できること(全国の平均工賃は平成28年度実績で約1万5千円)、障害特性に応じた仕事が可能なことなど「ぱんカンぱん」の情報は他事業所と比較すると利用者にとって十分利益ある情報だと言えます。しかし、松阪市障がい福祉課は知的障がい者に対してその情報を発信してくれません。

松阪市障がい福祉課の対応としては、「市の窓口に相談に来た人に答えている」「心のかたちという冊子を作り、ホームページで公開している」と返答しています。これらは受動的対応でしかありません。

知的障がい者が今よりも条件の良い施設を知るために「松阪市役所障がい福祉課に行けばよい」「松阪市のホームページで閲覧できる」と考えることができるでしょうか。仮にそのように積極的に考えることができる知的障がい者がいたとしても、それはきわめて「稀」であることは確かです。

したがって松阪市障がい福祉課は市内在住の知的障がい者に対する事業所の説明について消極的を通り越して情報の伝達を拒絶している状態にあります。
知的障がい者やその保護者に情報が届いていないことを再三再四訴えてきましたが松阪市障がい福祉課の職員は「黙ってうつむき、何も答えない」という対応をしています。

これでは松阪市障がい福祉課は障がい者に対して必要な情報を伝えない社会障壁を意図的に作り出していると見られても仕方がないでしょう。

② 松阪市障がい福祉課は必要な調査をしてくれない

昨年、利用者の父が亡くなるということがありました。利用者は成人しており、施設で生活していました。母は利用者への説明もなく、利用者名義の印鑑証明を強制的に「作らせました」その時、私は「利用者へ使用目的の説明もなく、印鑑証明を作ることは利用者の権利の侵害ではないか」と思い、松阪市障がい福祉課へ相談に行きました。松阪市福祉課は「問題ない」との回答でした。母への聞き取りもなく、事実を確認することなく「問題ない」と答えた松阪市障がい福祉課に怒りを感じました。

今回の件で私は、松阪市障がい福祉課は「利用者の権利が侵害されても何も対応しない」という事実がよく分かり、残念でなりません。

③ 広報松阪への広報掲載について

「松阪市における民間企業等の広告掲載に関する規則」「広報まつさか広告表現ガイドライン」に社会福祉法人の情報の掲載に関して記載がなかったため、松阪市秘書広報課へ行き、広報まつさかへ福祉事業所の情報を掲載してほしいとお願いに行きました。秘書広報課の担当者はその時「社会福祉法人の広報まつさかへの掲載については明確な規定がないので掲載することが出来ると思います。チラシを持ってきて下さい。一応、松阪市障がい福祉課にも確認を取っておきます」と回答がありました。

後日秘書広報課の担当者から電話があり「福祉課とも相談させて頂きましたが、福祉事業所の情報は掲載できません。掲載できない理由は、今まで社会福祉法人の掲載についてきまりがなかったので、今作りました。そのため掲載できません」と言われました。掲載できない明確な理由もなく、「たった今決まりを作ったから掲載できません」との返答は悪意があるとしか思えません。

ところが松阪市社会福祉協議会(社協)には、「社協だより」と称する冊子を広報誌にはさんで全松阪市民に届けています。社協は私たちの社会福祉法人と同じ「民間社会福祉法人」に位置します。にも関わらず広報において公然と差別するのは、市行政からの天下り先として社協が機能しているとしか映りません。

松阪市障がい福祉課の対応は3つの事例以外にも問題が多々ありますが、松阪市障がい福祉課は障がい者の立場に立って対応してくれないと痛感し、怒りを感じています。

皆さんはこの記事を見てどのように感じるでしょうか?
本来は松阪市障がい福祉課が先頭に立ち障がい者のために動かなくてはいけないのですが、松阪市障がい福祉課は何のために存在するのか疑問を感じます。法律さえも無視したありかたに当施設の施設長が「松阪市障がい福祉課は治外法権」と評するのが本当に的をついていると思います。

今後も松阪市障がい福祉課に対して障がい者の人権擁護を前提に様々な意見を伝えていくことを取り組んでいきたいと考えます。

2019年2月4日掲載